依存症家族相談で「尻拭いはやめましょう」「よいところをほめましょう」と勧められましたが、本人を褒めるなんて到底できません!

依存症

こんにちは。矢田の丘相談室カウンセラーの田中剛です。プロフィールはこちら

近年依存症の情報が

インターネットなどでも手軽に手に入るようになって

「尻拭いをしてはいけません」
「嘘を責めてはいけません」


などといった、型通りの助言が

情報としてあふれています。

依存症で困り果てて家族相談に行ったのに、

こんな助言をされたのでは、

そんなことできるんだったら苦労しませんよ、

と言いたくなりますよね。

家族は既に傷ついている

職場に迷惑をかけたり、
財布を無くしてきたり、
借金問題があったりで、

本人の依存症によるトラブルで

既にうんざりしている。

ご近所に謝ったり、
本人の金銭管理をしてみたり、
飲酒運転しないか車の鍵を管理したりで、
さんざん尻拭いをし続けてきたのに、

どうして本人の機嫌をとるような対応を
しなければいけないんですか⁈

本人に自覚させないと治らないですよね?

「尻拭いをやめなさい」というけど、
もし本人が会社をクビになったら、
一体私たちの生活はどうするんですか?

家族が本人を助けるのは、トラウマの効果のため

家族としては、既に対応しつくしていて、
傷ついている。

本人を責めたくなりますよね。

これこそが家族が依存症家族相談での、
助言通りに行動できない原因なのです。

散々ひどい目に遭ってきたから、
生活に不安を常に抱えている、

だから、尻拭いするなと言われても、
本人を助けてしまう。

これはトラウマによる、トラウマ回避の効果です。

だから、家族教室で言われた通りにできないのは、当然なのです。

トラウマを回避しようとすると、依存症が悪化してしまう

一方で、依存症の中核病理は両価性です。

両価性とは、
右を向けと言うと、左を向きたくなる、依存症本人の症状です。

両価性からすると、嘘を追及すれば、
逆にもっと嘘をつくようになります。

本人に飲酒を反省させようとすると、
飲酒欲求が高まります。

これは依存症の脳がもたらす症状なのです。

家族が、本人から受けたトラウマが原因で、
依存症を悪化させる対応を繰り返してしまう、悪循環なのです。

それではどうすれば良いのでしょうか?

戦略的に「演技する家族」を目指す

そこでご家族に必要なのは、

家族自身が本人の飲酒等の依存症によって

傷ついた体験を癒し、

戦略的に両価性を刺激しない対応に切り替える必要があるのです。

家族が本人の依存症行動によって

傷ついた体験を癒すことで、

嫌悪・恐怖の記憶(トラウマ)が軽減され、

飲むも飲まないも本人に任せるしかない、

という境地に自然とたどり着きます。

CRAFTや動機付け面接等の家族対応テクニックを

戦略的・表面的な演技として使えるようになります。

表面的な演技で全然構いません!

これは、家族のメリットのための戦略です。

そのおまけとして、本人の回復にも役立ちます。

家族会や、カウンセリングは、ご家族のためにある

癒すためには、家族会で怒りを吐き出すでもいいですし、

カウンセリングルームでケアを受ける、でもいいでしょう。

依存症に詳しいカウンセリングルームなら、

同時に戦略的対応もコーチングしてくれて、一石二鳥です。

ちなみに家族が家族相談に繋がってる本人の方が、
回復率が高いことはさまざまな研究で分かってきています。

また、本人が依存症行動の問題に気付くのは、
依存行動を止めた後であることも研究から明らかになってきています。

依存症を止めるのに、問題に気付かせる必要は無いんですね。

依存症って、家族の思いとはいろいろ逆なために、対応が難しい病気です。

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