生きづらさとは何か

こころの健康

こんにちは。矢田の丘相談室の田中です。プロフィールはこちら

当相談室のブログでは、
「生きづらさ」を一貫して取り上げていると思いますが
生きづらさ、生きにくさとは、何でしょうか。

「生きづらさ」を考える前に、
「生きやすさ」とはなんだろうか、を
考えるとわかりやすいと思いますので
考えてみましょう。

生きやすさを構成する、心の「基礎」


「生きやすさ」とは、
おそらく人間の集団の中で
他の人と気兼ねなく関わることができて、
グループや集団で遊ぶこと、
例えば飲み会のような集まりが、楽しいと感じられること、
「良いエネルギーの交流」がそこに感じられること、
が大きな要因ではないでしょうか。

そこから逆算すると、幼少期に、
あなたを養育した人との間で、
より良い体験がたくさんあったこと、

そうすると「世の中は信じるに足りる」と言う
基本的な信頼感(心の基礎)を幼少期に形成できます。
その後の人生においてずっと保たれる「世の中への基本的な信頼感」、
それが、生きやすさに、必要だと思われます。

その後の人間関係でも、
思いやりや良い交流を基本的に体験していて、
暴力・いじめ・ハラスメントといったような
過酷な体験をしていないこと。
(貧困も過酷な体験に含まれると考えられます)

さて、これを読んでいるあなたはどうでしょうか。
「そんな人本当にいるの?」と感じている人もいるかもしれません。
結構ハードルが高いですよね。

でも、それぐらい生きにくさの要因は、その辺に転がっていると思いますし、
過酷な体験をしている人ほど、
穏やかに、平穏な人生を送っている人がいるなんて、
信じられないものです。

生きやすさの半分くらいは、体質のようなもの

ここで注意しなければいけないのは、
生きやすさのもととなる「その人らしさ」は
育ちが全て決定するわけではないと言うことです。

データで何%とは言いがたいのですが、
半分ぐらいは体質のようなものだと考えて良いと思います。

体質のようなものの代表的なもので、
近年社会に認知されてきたものの1つに、
神経発達症(発達障がい)傾向があるでしょう。

神経発達症とは簡単に言うと、
能力の凸凹のようなものです。

この凸凹の差が大きいと、
生きづらさの要因になりやすいと
考えられます。

社会は数が多い心理的性質の人(いわゆる定型発達の人)に
合わせて作られているので、
凸凹が大きい人は、
自分に合った生活スタイルややり方を
オーダーメイドで構築しなければいけない。

メジャーな心理的性質の人たちと
考え方ややり方、
いろいろなタイミングが合わなくて苦労する。

このような体験を繰り返すことで、
二次的に、ストレスに敏感な心理的性質を持つ人も
多くいると考えられます。

神経発達症以外にも、精神病傾向なども
体質なようなものの1つでしょう。
(人格水準における心の壁が薄い傾向)
世の中のことを信じることができず、
人々から迫害されているような感覚を持ちやすいと思います。

家族や親類を見渡したときに、
精神病傾向がある人や、大量に飲酒する人などがいたら、
もしかしたらストレスに敏感な体質の一族かもしれません。

生きづらさは、昇華されることがある

このように、多様な要因で構成される生きづらさですが、
悪いことばかりではありません。

ストレスに敏感で、人の顔色に敏感で、気持ちが繊細であることを
昇華させている人たちがいます。

もちろん、全員がそうだとは言えませんが
対人ストレスに敏感であると言う事は、
人の気持ちの痛みや傷つきを敏感に感じ取れると言うことです。
このような性質を活かして、
例えば看護師などの対人援助職についていたり
サービス業について、人々を笑顔にさせていたりすることがあるでしょう。

また、このような「精神内界の地図に精通している」と言う性質を活かして、
芸術家などの表現者になる人も多くおられる、と考えられます。

これは私の臨床的な実感で科学的な話ではありませんが、
神経発達症傾向がある方の中にも、
たとえば衝動性を活かして起業する方がいたり、
集中力を活かして研究者になられたりする方が
結構な数でいらっしゃるように感じています。

メジャーな心理的性質でない、と言うことを
活かしておられるのです。

このように、
ご自身の心理的性質に合った生活を構築することが、
生きやすさには重要だと言えると考えられます。

生きづらさはが苦しい時には

もちろん、全員が生きづらさを昇華させて、
自分らしく生きているとは限りません。

きっと苦しんでいる人もたくさんいることでしょう。

生きづらさに苦しんでいる時に必要なことは、
信頼できる誰かと生きづらさを見つめ、
辛さに共感するプロセスを経て、
傷つきを癒すことだと思います。

また、神経発達症傾向などで苦しい時には、
ご自身の心理的性質に合った生活を構築するための、
心理専門家との相談も役立つでしょう。

当相談室でもそのお手伝いができると思います。

ご予約はこちらから。


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