こんにちは。矢田の丘相談室カウンセラーの田中です。プロフィールはこちら。
私の臨床経験から、ひきこもり状態のお子さんに対して、
「怒らせないように、黙っていよう」
と考える親御さんは相当数いらっしゃいます。
どこに地雷があるかわからなくて、何か言うのも怖くなってしまいますよね。
どこに地雷があるかわからなくて、何も言えなくなる
働いてほしい、どこかに相談に行ってほしい、など
必要なことでも、強く言えません。
急にキレて暴れ出したりするため、
どこに地雷があるのかわかりません。
そのため、思ったことを正直に言えず、
「そうだね。そうだね」とただ傾聴するような態度に
終始してしまいます。
本当は言いたいことがあるんだけど、
またキレて暴れられるよりは
めんどくさくない方をとってしまっています。
市のひきこもり相談にも通っていて、
必要なことは伝えましょう、と言われるんですが…
トラウマの効果は、身体的に記憶されるから、何も言えなくなる
引きこもるお子さんの怒鳴り方や暴れ方は
時に苛烈です。
壁に穴を開けてしまったり、非常に危険な暴力も
中にはあると思います。
このような恐ろしい体験は、身体的に記憶されます。
また怒るかもしれない、と
自動的に身構えてしまうようになるのです。
体が縮こまり、心拍数が上がり、
身動きが取れなくなってしまうような状態、
これをトラウマの凍結反応と呼びます。
これは自動的に起こるので、
いくら家族教室などで望ましいコミュニケーションを学んでも
なかなか実行できないのです。
子育ての後悔が、今日の「言えない」につながっている
引きこもっているお子さんに強く言えない要因として、
もう一つは、
子育ての過程で後悔していることがあって、
自分を責めていて強く言えない、
と言うパターンも典型的にあると思います。
行きたいかどうかも聞かずに、習い事に通わせたり、
時に手をあげたり、今思うと、
子育てで後悔することがたくさんありました。
当時は正しいと思っていたんです。
でも今、振り返ってみると、あれが良くなかったのでは
ということがたくさん思い浮かびます。
今、ひきこもる本人から、
お前のせいだ、とことあるごとに責めらます。
もちろん、めちゃくちゃの言い分に腹が立つこともありますし、
いい加減にしてよ、と思うこともしばしばです。
でも、
引きこもったのは、私のせいではないか、
との思いが頭をよぎって、
言いたいことを言いにくいんです。
自責も、一種のトラウマ反応
人間は責められ続けたり、
恐ろしい思いをすると、
「もしかしたら私が悪かったのではないか」
と考えるようになります。
DV被害者の心理とよく似ています。
あの時の私の対応が、
今の本人の状態を招いてしまったのかも、
どうしてあんなことをしてしまったんだろう、と
ご自分を責めているとしたら
これもトラウマ反応である可能性があります。
この恐怖→自責という連鎖から、
言いたいことを言えなくなる、
トラウマ反応のなせるところが大きいのです。
安心して吐き出せる場を設けることで、適切な親子の距離感を取り戻す
「またどこでキレるかわからない」
「仕方なかったじゃないか」
「どうしてわかってくれないの」
「あの時の私の対応が良くなかったのかな」
1人頭の中をぐるぐるめぐるこのような考えを
安心、安全な場で吐き出すことで、
トラウマによって起こっている、
凍結反応が次第に解除されて、
そこで初めて
CRAFTやアイメッセージなどの
コミュニケーションスキルや
知的な対応が可能になってくると考えられます。
公的相談機関が提供する家族会のようなところでもいいでしょうし、
当相談室にお越しいただいて、
カウンセリングのような場でもいいと思います。
安心安全な場所で、あなたの思いを吐き出してみませんか?
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