こんにちは。矢田の丘相談室の田中です。プロフィールはこちら。
私が心理療法に携わり始めて、30年ほどが経つのですが
ご相談内容で
人に好かれるにはどうしたらいいですか?と言う相談に
時々めぐり合うことがあります。
「人から好かれたい」
「自分は人から嫌われているのではないかと不安」
といったご相談です。
誰しも人から嫌われるのは怖いですし、できれば
人から愛されたいですよね。
そこで今日は、他者を尊重し、嫌われにくい方法を、
心理的境界線のシステムから考えてみましょう。
心理的境界線とは
人と人との間には、越えてはいけない「境界線」があります。
でも、なぜ境界線を越えてはいけなくて、
越えたら一体どんな状態になるのでしょうか。
以下に簡単な例を示して考えてみます。
近年ハラスメントと言う言葉が一般の方々の間で定着してきました。
その中でも有名な「モラハラ」とは一体なんだろう?と考えてみると、
例えば友人の好きなアーティストのことを、
「そんなくだらない音楽聞くなよ」
などと、相手の大切なものを価値のないように扱う、
といったことがモラハラですね。
相手の価値観をないがしろにするので、
当然相手は気分が悪くなります。
これが、心理的境界線を越えている証拠です。
嫌な感じがしたら境界線を越えてる、
と考えると、わかりやすいでしょう。
(嫌な感じがする要因には、複雑性PTSDなど他の要因もあります)
相手を変えようとするのは暴力と同じ
他の例も挙げてみます。
ひきこもりのご本人に対して、
「働かざるもの食うべからずだ」
と説教したとしましょう。
ご本人にはひきこもるだけの理由や事情があるわけですから、
ご本人はきっと
「わかってもらえない」
と失望するでしょう。本人との関係は悪くなるばかりです。
やな感じです。
上記のハラスメントの例から考えて、
ご家族が、心理的境界線を越えていることが予測できます。
でも一体何が、境界線を越えているのでしょうか。
働くことが正しい、と言う価値観(正しさ)の押し付けが、
境界線を超えて、
相手を変えようとしているので
相手が不快に思うのです。
相手を変えようとすると、必ず不仲になります。
相手を変えようとする行動の逆は
対話です。
ご家族が、ご本人に働いてほしい理由は、
ご本人によりよい人生を送ってほしいからだと思われますので
「私はあなたによい人生を送ってほしいと思うから
一緒に考えたいんだけど、どう?」
こういう話し合いの提案であれば、
相手の価値観を侵害せずに、希望を伝えることができています。
対話になるわけですね。
このように境界線のシステムから考えると、
不仲のある所には、相手を変えようとする
コントロール関係があると言って差し支えがないでしょう。
力で相手を変えようとする、暴力と同じなんですね。
ここから逆算して考えると、
心理的境界線を越えず、
相手を変えようとしないで
対話を試みる、
そうすると
相手を大切にしていると伝わりやすい、
結果としてよい関係を維持しやすい、
ということが言えそうです。
境界線を越えない、具体例なセリフ集
それでは、境界線を越えないコミュニケーションを
具体的事例を挙げて考えてみましょう。
相手の考えを尊重する 具体的なセリフの例
「 そういう考え方もあると思う。」
相手の立場を考える 具体的な思考の例
「こういう態度をとるのには、きっと事情があるんだろうな。」
「よかったら、話を聞かせてくれないかな。」(対話)
正しさを押し付けない、相手を変えようとしないで提案する言い方
「私は〇〇と思うけど、どう?」
意見が違っても、私とあなたは違っててもオッケー!な言い方の例。
「 あなたはそう思うんですね。」
「でも私はこう思います。」
「あなたと私の考えは違うけどokです。」
境界線を守ることで嫌われにくい
人気者になりたいと思って、このブログをご覧になった方は、
がっかりしたかもしれません。
でもこのブログで提案している、
境界線を守ったコミニケーションで
良好な関係をいろんな人と築いていけば、
その先で「愛されたい」という願いが叶う可能性が高まるかもしれません。
よかったら実行してみて下さい。
ご相談・ご予約はこちら。
※複製・転載は固くお断りします。